コラム

中国ビジネス法務 基礎編1 「最前線」(平成14年4月)

2017年07月
谷口 由記

1.中国への進出形態

 日本企業の中国への進出形態は大別して、①中国との輸出入、②中国への委託製造・委託加工、③中国での現地法人設立の3つのタイプがあり、①→③は関与の度合いが軽い方から重い方へ向いています。第1は、製品・部品等を輸入したり輸出したりする売買取引です。第2は、日本企業が中国現地工場(中国企業)に製品の製造加工を委託する委託製造取引です。原材料を提供する場合とそうでない場合があります。中国が世界の工場となり、Made in Chinaの製品が日本中に溢れている状況がその反映ですが、近時、中国の人件費・原材料費・賃料等が高騰し、労働契約で労働者の権利保護の強化、中国政府の製造輸出優遇政策の変更など、企業にとって一昔前のコスト安のメリットがなくなりつつあります。第3は、中国現地に法人を設立して製造や販売を行う形態です。①→②→③と取引関係が深くかつ複雑になり、取引関係を解消するのにも費用や時間を要することになり、規模・投資額・利益ともに小→大に向かいますが、リスクも小→大となります。また、③には人口の多い中国市場への展開をめざす企業が増えてきていますが、他方で中国国内では実際の店舗を確保する必要がないバーチャル店舗である巨大なインターネット販売取引が出現し新たな商品販売流通形態を生み出していますが、模倣品市場にもなっており、日本企業の知的財産権の保護対策も必要となっています。


2.現地法人の3タイプ

 現地法人設立には3つのタイプがあり、①合弁企業、②合作企業、③独資企業であり、①は外国資本と中国国内資本の共同出資形態(外資25%以上)で利益配分は出資比率によります。②も外資と内資の共同出資形態ですが、利益配分が契約で決められるという特徴があり、かつてはホテル建設等のインフラ整備事業向けに利用された形態です。③は外資が100%出資の形態です。進出する業種等に応じて、①の形態を求め、かつ、中国内資が51%以上出資を条件に設立が許可される場合もあります。自動車製造企業はこの形態であり、マジョリティを有する中国内資企業が中国政府の意向を受けた経営を行うことができるようになっているのです。また、合弁で設立したものの、中国側パートナーとの意見が合わず、合弁解消の末に、③の独資企業で再出発という企業も少なくありません。③では外国企業の意向で経営ができる強みがありますが、他方、市場展開に必要な材料仕入・製品販売のルートを確保できない悩みもあります。


3.中国市場へのアプローチ

 日本企業が中国現地へ法人(工場)を設立して製品を日本や海外へ輸出するビジネスモデルも依然として日本企業の主流を占めてはいますが、企業にとって中国マーケットの魅力は他のアセアン諸国の比ではありません。近時、富裕層の増加に伴い、価格が高いが品質が良く安全な日本製品を買いたいという人々が増加しています。しかし、中国マーケットは日本人が考えるほど甘いものではないのが現実です。中国市場展開として、低価格競争で相手となるのは中国国内企業であり、薄利多売戦略では国内企業には勝てません。しからば高価格製品競争では独占できるかといえば、そうではなく同じく中国に進出している欧米企業との競争が待っています。その意味で中国市場展開はまさに世界を相手にした競争と言えるため、苦戦を強いられる日本企業も少なくないのが現実です。


4.中国進出企業の相談役

 日本企業が中国に進出した場合、ビジネス法務の難問に突き当たるのが現実です。そこでお役に立てるのが日系で進出している法律事務所です。日本の企業法務の知識を備え、かつ、中国ビジネス法務の経験を有しており、各企業ニーズに適う法務サービスを提供できます。特に日本親企業においてコンプライアンスの徹底が叫ばれており、中国現地法人もそれに倣ってという親企業からの指示を受け、現地中国企業責任者は頭を抱えて苦しんでいるのが現状です。他方で中国現地には日本企業の元駐在員で中国の事情を知っているとか中国人有力者にコネがあるなどと称してコンサルタント契約を求めて企業に接近してくる人物も多く、彼らに頼むと、結局はどうにもできず、コンプライアンスとは全く逆の金銭賄賂解決を勧められて応じたものの法令違反が露見して多額の罰金の制裁を受けるケースもみられます。
 そうしたことにならないように資格と経験を有する法律事務所にご相談ご依頼されることをお勧めします。

(2017年7月18日改訂)