コラム

賃貸住宅管理業法について

2021年07月
内貴 梨咲子

 

第1 はじめに

賃貸住宅の賃貸人(物件所有者)とマスターリース契約(賃貸人と賃借人との間で締結される賃貸住宅の賃貸借契約であって、賃借人が当該賃貸住宅を転貸する事業(サブリース事業)を営むことを目的として締結される契約のこと)を締結し、サブリース事業を実施する者(サブリース業者)が増加しています。そのような中、サブリース業者が物件所有者にサブリース方式での賃貸住宅の経営に係る潜在的なリスクを十分に説明せずマスターリース契約を締結することで、サブリース業者と物件所有者との間で家賃減額や賃貸借契約解除等を巡るトラブルが発生しています。2018年に女性専用のシェアハウスのサブリース事業を行っていた会社が資金難に陥り、多数のオーナーに家賃を支払えなくなり、社会問題化したことは記憶に新しいところです。

令和2年(2020年)12月15日に施行された賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下「賃貸住宅管理業法」といいます。)において、マスターリース契約についてのトラブルを未然に防ぐために規制が設けられましたので、規制の概要を紹介いたします。

 

第2 賃貸住宅管理業法の規定内容の概要

1 誇大広告等の禁止(賃貸住宅管理業法28条、同法施行規則3条)

サブリース業者又は勧誘者がマスターリース契約の条件について広告をするときは、サブリース業者が支払う家賃、契約変更に関する事項等について、著しく事実に相違する表示又は実際のものよりも著しく優良・有利であると人を誤認させるような表示を禁止しています。

 

2 不当な勧誘等の禁止(賃貸住宅管理業法29条、同法施行規則4条)

サブリース業者又は勧誘者がマスターリース契約の勧誘時に、家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為を禁止しています。

 

3 契約締結前の説明及び書面交付(賃貸住宅管理業法30条、同法施行規則5条、6条)

サブリース業者はマスターリース契約の相手方(一定の専門的知識及び経験を有すると認められる者を除きます。)に対し、マスターリース契約の締結前に、家賃、契約期間等の重要事項を記載した書面を交付して説明しなければなりません。

 

4 契約締結時における書面交付(賃貸住宅管理業法31条、同法施行規則9条)

サブリース業者はマスターリース契約の相手方に対し、マスターリース契約の締結にあたって、家賃その他の賃貸の条件や契約期間等を記載した書面を交付しなければなりません。

 

5 書類の閲覧(賃貸住宅管理業法32条、同法施行規則10条)

サブリース業者は、サブリース業者の業務等を記載した書類をサブリース業者の営業所又は事務所に備え置き、マスターリース契約の相手方等の求めに応じ、閲覧させなければなりません。

 

6 罰則(賃貸住宅管理業法34条、42条~44条)

サブリース業者又は勧誘者において、前述のから5の規定のいずれかに反する行為があった場合には、6月以下の懲役又は罰金等が科されることになります。その他、業務停止等の行政処分がなされることとなります。

 

第3 おわりに

以上で紹介した規制以外にも委託を受けて賃貸住宅管理業務を営もうとする者について賃貸住宅管理業の登録を義務付ける制度が新設されています(賃貸住宅管理業法3条から27条)。賃貸住宅を所有する所有者は同法の規制の下で各業者と契約を締結することとなるため、トラブルを未然に防ぐことが期待されます。