コラム

住宅訴訟における欠陥の判断基準

2021年11月
西 祐亮

今回は、私たちの生活の基礎となる住宅にまつわる訴訟について説明します。住宅訴訟における最大の争点としては欠陥の有無が問題となります。以下、欠陥に関する判断基準について、概要を説明します。

 

「欠陥」とは、取得した住宅が契約内容に適合していないこと、契約内容どおりの性能ないし品質を欠いていること(契約不適合)をいいます。

したがって、住宅に「不具合」が生じていること(不具合事象。例えば、床が傾いているなど)を主張するだけでは、訴訟において欠陥の存在を主張したことにはなりません。欠陥であるとの評価を得るためには、個別の請負契約(売買契約)の契約内容を確定したうえで、当該不具合事象を生じさせている原因(欠陥原因)について主張立証を行うことが不可欠となります。

 

契約内容の確定は、契約時に作成された設計図書や見積書を一次資料として行いますが、その他にも建築基準関係法令や各種標準仕様書等も参考資料となります。

欠陥原因については、当該欠陥を生じさせた工事の問題点を主張立証することとなります。そもそも契約内容に含まれている工事が行われていないような場合は、欠陥と認定されることは言うまでもありませんが、多くの場合は、工事の精度が十分であったか否かが争点となると考えられます。その場合は、実際に行われた工事内容があるべき工事内容と比較して社会通念に照らして許容できるものか否かを検討することとなります。社会通念上求められる施工水準がどのようなものになるかは、当該具体的工事の内容から一律に決まるものではなく、報酬額、工期、建物の種類・性質、工事の場所、施工者の規模などを総合的に考慮して判断するのが一般的です。

 

以上のとおり、住宅訴訟において欠陥が存在するとの認定がなされるまでにはそれなりのハードルがあり、これらの主張立証責任は原則として消費者側が負うこととなります。もっとも、受注者(売主)も自らが施工した工事(販売した建物)に問題がないことを積極的に主張立証することは訴訟において重要となります。そのためには、施工した箇所に関しては工事前と工事後の写真を残したり、設計図書、見積書、議事録等の資料を社内で保管するよう徹底したりするなどして、有利な証拠として使用できる資料を保存することが求められます。