コラム

所有者不明土地への法的対応について (民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要)

2021年12月
内貴 梨咲子

第1 はじめに

土地の所有者が死亡し、実体的には相続により土地の所有権が移転しているにもかかわらず、相続登記がなされないことにより、所有者が不明となっている土地(以下「所有者不明土地」といいます。)の発生が社会的な問題となっています。所有者不明土地は、土地の取引や利用に大きな支障が生じることや、土地の管理がなされないまま放置されることなど、長年の課題となっていました。

このような問題を解決するため、民法等一部改正法や相続土地国家帰属法が制定されましたので、各法の概要を紹介いたします。

 

第2 各法律の概要について

1 相続登記の申請の義務化と相続人申告登記について

従前は、不動産を取得した相続人に相続登記の申請を義務付ける規定が存在しなかったため、当該相続人は取得した不動産の登記を行わないまま不動産を放置し、所有者不明土地が発生する原因となっていました。

改正不動産登記法第76条の2は、不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けました。同条に違反して、正当な理由がないにもかかわらず、相続登記の申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処されることとなります(改正不動産登記法第164条第1項)。

 

2 相続土地国庫帰属制度

従前は、不動産を取得した相続人が、当該不動産を不要だと考えたとしても、当該不動産を売却する等の手続を経なければ不動産を処分することができず、当該相続人が不動産を適切に管理しないことで、管理不全を招いている状態となっていました。

今回新設された「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(以下「相続土地国庫帰属法」といいます。)は、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等が、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる旨の規定が設けられました(相続土地国庫帰属法2条1項)。当該規定は全ての土地を対象としているわけではなく、建物が存しない土地、担保権が設定されていない土地などの一定の要件を満たした土地のみが対象となっているため、注意が必要です(相続土地国庫帰属法2条3項、5条1項)。

法務大臣が承認し国庫に帰属した土地は、国が管理・処分することとなります。

 

3 土地利用に関する民法の改正について

その他、土地利用に関する民法の規律が見直されます。具体的には、利害関係人の請求により、裁判所が所有者不明土地の管理人を選任し、土地の管理を命ずる処分をすることができる制度の新設(改正民法264条以降)、共有者が不明な場合の共有物管理・共有物変更手続の合理化(改正民法251条、252条及び252条の2)等が新たに規定されます。

 

第3 おわりに

前記「第2」で紹介した各法律について、相続登記の申請を義務化する不動産登記法の改正は令和6年4月1日に、相続土地国庫帰属法は令和5年4月27日に、土地利用に関連する民法改正法は令和5年4月1日に施行されることとなりました。

いずれの法律も施行日まで1年以上の期間がありますが、従前の法制度と比較して大幅な制度変更となるため、今から改正内容を把握しておく必要があります。