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コラム
同一労働同一賃金
2019年10月
弁護士: 松本 実華
分 野:
1 同一労働同一賃金とは
近年、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の賃金等の待遇差が問題となっています。この問題は、「同一労働同一賃金」(同じ内容の労働には同じ対価を支払うべきという考え方)として、訴訟で争われる事案も増えています。
以下では、働き方改革の一環として改正された「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」で定められた短時間労働者(パートタイム、アルバイト等)及び有期雇用労働者と正社員(フルタイム・無期雇用)との間の待遇差に関する規定を紹介します。
2 改正点の概要
同法8条及び9条は、「同一労働同一賃金」の実現のため、正社員と短時間・有期雇用労働者との間で、基本給、賞与、その他の待遇について、不合理な待遇差を設けることを禁止しています。
また、短時間・有期雇用労働者と正社員との間の待遇の相違及び内容について使用者に説明義務が課される等(同法14条)、説明義務に関する規定を強化することにより、不合理な待遇差の解消を実現しようとしています。
3 不合理な待遇差であるか否かの判断方法
待遇差が不合理であるか否かは、個々の待遇ごとに、
① 業務の内容及び責任の程度、
② 職務内容及び配置の変更の範囲、
③ その他の事情、
のうち、その待遇の趣旨目的に照らして不合理性の判断材料として適切と認められるものを考慮して判断されます(同法8条)。
4 使用者の対応について
使用者としては、短時間・有期雇用労働者と正規雇用労働者との間に待遇差が認められる場合には、これが不合理でないかを確認する必要があります。また、待遇差が不合理であるかの判断は上記のとおり当該待遇の趣旨目的から判断されるため、趣旨が明確でない手当がある場合には、その趣旨を明確にしておく必要があります。
同一労働同一賃金ガイドライン(平成30年12月28日厚生労働省告示第430号)では、賃金に関する待遇差だけでなく、福利厚生、キャリア形成等の待遇差に関し、具体例が示されており、就業規則・雇用契約の見直しの際に参考になります。