コラム

固定資産税の過誤と国家賠償責任の除斥期間

2021年04月
小澤 拓

 

第1 固定資産税の過誤がある場合の国家賠償責任

不動産の所有者(毎年の1月1日時点の登記名義人)には固定資産税が課されます。固定資産税は、対象不動産について地方公共団体が評価を行って固定資産評価額を決定し、これに基づいて税額が算出されます。この固定資産評価額に過誤があり、固定資産税が過大に課されるケースが散見されます。

過去の固定資産税の過誤については、行政不服申立て又は訴訟により課税処分(賦課決定)の取消しを求めることができますが、この方法は厳格な期間制限があります。そこで、実務上、地方公共団体に対して国家賠償法に基づく損害賠償請求の形で責任追及されることが少なくありません。この方法であれば、違法行為から20年の除斥期間まで遡って責任追及することができます。

 

第2 国家賠償責任の除斥期間の起算点

国家賠償責任は最長20年前まで遡ることができますが、どの時点を起算点とするかが問題となります。すなわち、固定資産税の過誤は最初(建物であれば建築当初)の評価の誤りに起因していることが多いですが、当該評価時点を起算点とすると、評価が20年以上前にされている場合は、除斥期間経過により国家賠償責任を追及できないこととなります。

この点につき最高裁は、除斥期間の起算点につき、当初の評価行為ではなく、その後に続く毎年の固定資産税の賦課決定時点と判断しました(最判令和2年3月24日(民集74巻3号292頁))。

 

第3 結論と課題

上記最高裁判例により、当初の評価が20年以上前であっても、その後の各年度の固定資産税の過誤について、20年まで遡って国家賠償責任が追及できることとなりました。

もっとも、国家賠償責任が認められるには担当公務員の職務上の注意義務違反が要件となりますが、どの時点の注意義務違反を論ずべきか(当初の評価を行った担当公務員か、その後の各年度の賦課決定を行った担当公務員か)は、明らかにされておらず、今後の判断の集積が待たれます。