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コラム

株主名簿の整備を

2016年09月

弁護士: 稲田 正毅

分 野: 事業承継

 平成28年4月20日公布の商業登記規則の改正(改正商業登記規則61条2項、3項)により、平成28年10月1日以降の株式会社の登記申請にあたっては、「株主リスト」の添付が必要となる場合がありますので、注意が必要です。以下においては、商業登記規則の改正内容の概略を説明したうえ、実務上の留意点を紹介いたします。

1 改正内容

 次の2つの場合に登記申請に際して株主リストの添付が必要となり、その株主リストの内容は以下のとおりです。
なお、具体的な書式は、法務省のHP( http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00095.html )で公表されております

 

① 登記すべき事項につき株主全員の同意が必要な場合
株主の全員について、以下のアからエまでの4点を代表者が証明した株主リストが必要です。
ア 株主の氏名または名称
イ 住所
ウ 株式数
エ 議決権数

 

② 登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合
次のAまたはBのいずれか少ない方の株主について、以下のアからオまでの5点を代表者が証明した株主リストが必要です。
A: 議決権数上位10名の株主(議決権のない株主は除外されるが、総会に欠席した株主や議決権を行使しなかった株主も含む)
または
B: 議決権割合が3分の2に達するまでの株主
ア 株主の氏名または名称
イ 住所
ウ 株式数
エ 議決権数
オ 議決権数割合

2 実務上の留意点

 まずは、現在の株主名簿を確認し、これを整備するようにする必要があります。
中小企業においては、株主名簿が設立時からそのまま放置されていることが少なからずあり、後継経営者の世代において株主が確定できないようなトラブルも生じております。これを機会に、現在の株主名簿を整理しておくことが重要です。
また、株主総会を現実に開催して決議を行うことが必要です。
 中小企業の中には、登記に際して株主総会議事録を作成はするものの、実際には株主総会は開催していない会社も少なからず存在します。しかしながら、紛争予防の観点からも、株主総会を開催することが重要です。
 困ったら、いつでもお気軽にご相談ください。

(事務所報 №12 2016年8月号掲載)
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