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コラム

改正労働者派遣法

2016年04月

弁護士: 元氏 成保

分 野: 一般労働相談

 平成27年9月30日、改正労働者派遣法が施行されました。今回の改正の内容は多岐に亘っていますが、派遣労働者を受け入れている事業者においては、特に、労働者派遣の期間制限が見直されたことについては、正確に把握しておかなければなりません。

 

 今回の改正では、従前の、業務の内容による期間制限の区分が見直され、業務に関わりなく、派遣先の同一の事業所に対し労働者を派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則として3年と定められ、それを超えて派遣労働者を受け入れようとする場合には、派遣先の事業所の過半数労働組合(または労働者の過半数代表者)の意見を聴取しなければならないこととされました(事業所単位の期間制限)。また、同一の派遣労働者を事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間の限度も3年と定められました(個人単位の期間制限)。組織単位とは、課、グループ等の業務としての類似性や関連性がある組織であり、かつ、その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を有するものであるとされており、名称にとらわれることなく実態により判断されます。

 

 一方、派遣先が一定の違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされる、いわゆる労働契約申込みみなし制度も、平成27年10月1日から施行されています。上記の事業所単位、個人単位の期間制限のいずれに違反した場合も、労働契約申込みみなし制度の対象となります。したがって、事業者としては、派遣労働者を受け入れている期間について十分に確認しておくことはもちろん、派遣可能期間を延長する際には、その手続的な点についても、十分な配慮が必要です。

 

 なお、事業所単位の期間制限、個人単位の期間制限共に、いわゆる「クーリング期間」は3か月とされ、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3か月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされます。また、派遣元における雇用形態が無期雇用派遣労働者の場合には、上記の期間制限の適用はありません。

 

(事務所報 №7 2016年3月号掲載)

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